Webサービス内の作業をスクレイピングで自動ルーティン化した事例のイメージ画像

結論

ECサイト運営では、日々のデータ確認や更新作業が積み重なると、売上に直結しないルーティン業務に多くの時間が取られやすくなります。今回の事例では、Webサービス内で毎日繰り返していた定型作業を、スクレイピングと自動操作によって完全自動化し、担当者の手作業をなくす仕組みを構築しました。

単に情報を取得するだけではなく、ログイン、必要画面への遷移、データ取得、更新処理、結果通知までを一連の流れとして自動化した点がポイントです。人が毎朝同じ作業を繰り返す状態から、仕組みが決まった時間に正確に処理する状態へ切り替えたことで、業務負荷とミスの両方を大きく減らしました。

結果として、毎日2時間かかっていた作業は完全自動化され、実質0時間化を実現しています。担当者は定型作業から解放され、より重要な業務へ時間を振り向けられるようになり、更新漏れや入力ミスもなくなりました。業務効率化と品質安定を同時に実現した事例です。

クライアント概要

今回ご支援したのは、ECサイトを運営する小売業の事業者です。従業員規模は15名程度で、日々の販売管理や商品更新、各種データ確認などを少人数で運用していました。小売業では、販売戦略や顧客対応に時間を使いたい一方で、運営に必要な定型作業が多く、現場負担が大きくなりやすい傾向があります。

特に外部のWebサービスを利用している業務では、ログインして画面を開き、決まったボタンを押し、必要データを確認・取得・記録するといった作業が毎日発生しやすくなります。作業内容は単純でも、継続すると大きな工数になり、担当者ごとのやり方の違いも出やすくなります。

導入時期は2021年11月です。今回は、日々繰り返していた作業を人が頑張って回すのではなく、自動化前提で業務フローを見直し、定型業務を仕組みとして安定運用できる状態をつくることを目的に支援しました。

項目内容
業種小売業
事業形態ECサイト運営
従業員規模15名程度
導入年月2021年11月
対象業務Webサービス内の定型操作・データ取得・更新処理

導入前の課題

最初の課題は、社内担当者が毎日Webサービスにログインし、同じ操作を繰り返していたことです。データ取得や更新といった定型業務は、一回あたりの作業自体は難しくなくても、毎日欠かさず行う必要があるため、積み重なると大きな工数になります。しかも、これらの作業は直接売上を生むわけではないため、現場としては優先順位のつけにくい負担になっていました。

次に、作業時間が長く、担当者依存で業務が属人化していたことも問題でした。同じ操作を繰り返す業務ほど、「慣れている人がやる」状態になりやすく、担当者が不在になると処理が滞るリスクが高まります。マニュアルがあっても、細かな判断や操作順の違いで再現性が落ちることは珍しくありません。

さらに、更新漏れや記録ミスが発生することもあり、業務効率だけでなく品質面にも課題がありました。人手作業では、確認忘れ、転記ミス、更新し忘れなどがどうしても起こりやすくなります。特にEC運営では、更新タイミングやデータ精度がずれると、後続業務や判断にも影響が出やすくなります。

つまり課題の本質は、重要ではあるものの、繰り返し性が高く、人がやる必要性の低い業務に現場リソースが取られていたことです。今回の支援では、毎日同じように行っている操作を切り出し、自動実行できるルーティンへ変換することを軸に設計を進めました。

実施した支援内容

今回の支援では、Pythonを用いてスクレイピングと自動操作を組み合わせたプログラムを開発しました。人がブラウザ上で行っていたログイン、画面遷移、データ取得、必要な更新操作を、あらかじめ定義した手順に沿って実行できるようにしたものです。単純な情報取得だけでなく、実際の業務フローをなぞる形で自動化しています。

具体的には、定期的に対象のWebサービスへアクセスし、必要なデータを取得・処理する仕組みを整えました。これにより、担当者が毎回サービスへアクセスして状況を確認する必要がなくなり、決まった時間に必要な情報が整う状態を実現しています。繰り返し作業を人の記憶や習慣に依存しない形へ変えたことが大きな改善点です。

また、自動化ルールを設定し、日次業務そのものをルーティン化しました。自動化で重要なのは、単発で一部作業を楽にすることではなく、毎日安定して同じ品質で実行されることです。今回は、対象画面、取得項目、処理順、通知方法まで含めて整理することで、業務フローとして継続運用できる形へ落とし込みました。

さらに、処理結果はメールとスプレッドシートへ自動送信される仕組みにしました。自動化して終わりではなく、担当者が結果を確認しやすい状態にしておくことで、異常時の気づきや運用確認もしやすくなります。実行自体の自動化と、確認しやすさの両立を意識した構成です。

今回の支援は、単なるRPA的な操作代行ではなく、現場が毎日回していた定型業務を仕組みとして再設計した点に価値があります。人が手を動かす前提から、自動で回る前提へ変えたことで、日常業務の質が大きく変わりました。

システム構成と進行の流れ

今回の構成では、Pythonを中心に、Seleniumでブラウザ操作を自動化し、BeautifulSoupで必要情報の抽出や整形を行う流れを構築しました。対象のWebサービスへログインし、人が操作していた手順を順番に再現しながら、必要なデータ取得や更新処理を実行しています。画面操作が必要な業務には、こうした組み合わせが有効です。

重要だったのは、対象サービス上の操作手順をそのままコード化するのではなく、業務として本当に必要な処理単位に分解して設計したことです。毎日の作業には、確認だけで済む部分、更新が必要な部分、結果を共有すべき部分があります。そこを分けて整理したことで、不要な処理を増やさず、安定した自動化につなげています。

また、結果の通知先としてメールとGoogleスプレッドシートを採用したことで、現場での確認もしやすくなりました。自動化は便利でも、中で何が起きたかが見えないと不安になりやすいものです。今回は、実行結果がすぐ見える形で共有されるため、現場側も安心して運用しやすい構成になっています。

進行面では、まず現状業務を棚卸しし、どの操作が毎日必須で、どこにミスが起きやすいかを整理してから要件を固めました。そのため、ただ自動化するだけでなく、本当に残すべき確認と、人手をなくしてよい作業を分けた設計になっています。これが、導入後の定着につながる大きな要因でした。

  1. 現状の日次業務フローを整理
  2. 自動化対象の操作と取得項目を定義
  3. Pythonでスクレイピング+自動操作プログラムを開発
  4. 定期実行ルールを設定しルーティン化
  5. メールとスプレッドシートへの結果通知を整備
  6. 異常時確認も含めた運用フローへ落とし込み

導入後の成果

導入後は、毎日2時間かかっていた作業を完全自動化し、実質0時間化を実現しました。担当者が毎朝行っていた繰り返し作業が不要になったことで、その時間をほかの業務へ振り向けられるようになっています。単純作業の削減効果として非常に大きく、日々の負担軽減に直結しました。

また、担当者の負担が軽減されたことで、より重要な業務へリソースを集中できるようになりました。EC運営では、販売施策、商品改善、顧客対応、在庫管理など、人が判断すべき業務が多くあります。今回の自動化によって、そうした価値の高い仕事へ時間を回しやすくなったことが、大きな成果です。

さらに、更新漏れや入力ミスがなくなり、業務品質も安定しました。人手作業では避けにくかった確認漏れや転記ミスが減ったことで、結果の信頼性が高まり、後続業務にも良い影響が出やすくなります。自動化は単に速くするだけでなく、品質を一定化する意味でも効果があります。

今回の成果は、単なる工数削減だけではありません。業務の再現性が高まり、担当者が変わっても安定して回る状態をつくれたことで、属人化解消にもつながっています。毎日必要な業務を、人に頼らず確実に実行できるようになった点が、本質的な改善です。

この事例のポイント

今回の事例のポイントは、「人が毎日やるしかない」と思われていた業務を、自動化前提で見直したことです。業務の中には、人が判断すべき仕事と、人が同じ手順を繰り返しているだけの仕事が混在しています。今回は後者を明確に切り出し、仕組みとして回せる形へ変えました。

また、スクレイピングだけで終わらず、自動操作まで含めて実装したことも特徴です。単に情報を取るだけなら取得botで十分なこともありますが、実際の業務ではログインや画面操作を伴うケースが多くあります。そこまで含めてルーティン化したことで、現場の実感として「本当に楽になった」と感じやすい仕組みになりました。

さらに、結果通知をメールとスプレッドシートの両方で行うことで、確認しやすさも確保しています。自動化システムは、裏で動くだけではなく、担当者が安心して見守れることも重要です。通知設計まで含めて考えたことで、定着しやすい運用へつながりました。

実務上は、こうした仕組みは「業務をなくす」のではなく、「人がやらなくてもいい部分をなくす」ためのものです。今回の自動化は、その線引きがうまくできたことで、現場にとって意味のある改善になりました。

このような事業者に向いています

今回の取り組みは、外部Webサービス上で毎日同じ操作を繰り返している小売業やEC事業者に特に向いています。ログイン、確認、取得、更新、転記などの定型作業が積み重なっている場合、自動化の効果が大きく出やすくなります。

また、担当者依存で業務が回っており、属人化を解消したい企業にも相性が良いです。担当者の経験や注意力に依存する運用は、担当変更や繁忙期で不安定になりやすいため、ルール化・自動化しておく価値があります。

更新漏れや記録ミスを減らしたい企業にも向いています。人が毎日行う作業ほど、忙しい日や例外対応が入った日に抜け漏れが起きやすくなります。決まった手順を自動で正確に実行したい場合に、有効な事例です。

  • 毎日Webサービスへログインして同じ作業をしている企業
  • EC運営の定型業務を自動化したい小売業
  • 担当者依存の業務を減らしたい事業者
  • 更新漏れや転記ミスをなくしたい会社
  • 定型作業ではなく重要業務へ時間を使いたい組織

使用技術

今回の構築では、Python、Selenium、BeautifulSoup、Google Apps Scriptを活用しています。Webサービスのログインや画面操作にはSelenium、取得した情報の整形にはBeautifulSoup、処理全体の制御にはPythonを利用し、共有や通知まわりにはGoogle Apps Scriptを組み合わせました。

この構成の強みは、ブラウザ操作を含む実務フローに対応しやすい点です。APIが用意されていないサービスでも、必要な画面操作を自動化しやすく、定型業務のルーティン化に向いています。現場に合わせて柔軟に自動化しやすい構成です。

区分内容
自動操作Python / Selenium
情報抽出BeautifulSoup
共有・通知Google Apps Script
主な対象ログイン、データ取得、更新処理、結果通知
運用目的日次業務のルーティン化と完全自動化

システム画面イメージ

本事例では、記事最下部に実際のシステム画面イメージを掲載しています。自動化対象の画面や処理後の結果確認画面が見えることで、文章だけでは伝わりにくい運用イメージをつかみやすくなります。どの業務が自動化され、どのように結果が確認されるのかが視覚的に分かることは、導入検討時にも大きな判断材料になります。

特に今回のようなルーティン自動化では、「どこまでが自動で動くのか」「人は何を確認すればいいのか」が重要です。システム画面イメージを載せることで、単なる裏側の処理ではなく、現場で安心して使える運用フローまで含めて設計されていることが伝わりやすくなります。

また、画面の分かりやすさは自動化の定着にも影響します。現場では、動いていることが分かりにくい仕組みより、結果が見えやすく確認しやすい仕組みのほうが信頼されやすくなります。最下部の画面掲載は、その安心感を補強する要素にもなります。

関連する内容は システム開発・業務改善支援 もあわせて確認すると、判断しやすくなります。

よくある質問

Q. スクレイピングと自動操作はどんな業務に向いていますか?
毎日同じサービスへログインして、同じ順番で確認・取得・更新を行っている業務に向いています。定型性が高いほど、自動化の効果が出やすくなります。

Q. APIがないWebサービスでも自動化できますか?
画面操作ベースで対応できるケースは多いです。今回のようにSeleniumを使えば、ログインや画面遷移を含む操作を自動化しやすくなります。

Q. 完全自動化すると確認が不安ではありませんか?
その不安を減らすために、今回のようにメールやスプレッドシートで結果通知を行う設計が有効です。自動で動きつつ、必要な確認は人がしやすい状態にしておくことが重要です。

Q. 小規模な会社でもこうした自動化は効果がありますか?
はい、むしろ少人数の組織ほど効果が大きいです。定型作業に取られていた時間を他業務へ回せるため、限られた人数でも業務全体の生産性を上げやすくなります。

Q. どこまで自動化するべきか一緒に整理できますか?
はい、可能です。すべてを無理に自動化するのではなく、人が判断すべき部分と、ルーティン化できる部分を整理しながら設計することが実務上は重要です。

まとめ

Webサービス上で毎日繰り返している定型作業は、一件ごとは小さく見えても、積み重なると大きな負担になります。今回の事例では、スクレイピングと自動操作を組み合わせて日次業務を完全自動化し、毎日2時間かかっていた作業を0時間化しました。

その結果、担当者の負担は軽減され、他の重要業務へリソースを集中できるようになり、更新漏れや入力ミスもなくなっています。単なる省力化ではなく、業務品質の安定と属人化解消までつながったことが、この仕組みの大きな成果です。

毎日同じWeb操作を繰り返している、担当者依存の定型業務がある、更新漏れやミスを減らしたいという場合は、スクレイピングと自動操作を組み合わせたルーティン自動化が有効です。

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