
結論
BtoB営業を行う中小企業では、営業リスト作成、重複確認、メール配信、配信結果の確認がそれぞれ分断されていると、担当者の負荷が大きくなり、営業活動そのものに使える時間が減ってしまいます。今回の事例では、Web上の公開情報を収集・整理し、リスト化からメール配信、配信結果の可視化までを一元管理できる営業支援システムを構築し、営業活動のスピードと再現性を大きく改善しました。
単に営業リストを自動生成するだけではなく、データベース上で重複排除や分類を行い、そのままシステム内からメール配信まで進められるようにした点が大きな特徴です。さらに、送信結果や開封状況をダッシュボード化したことで、配信後の振り返りや改善もしやすくなり、営業PDCAを回しやすい環境を整えました。
結果として、営業リスト作成工数は90%以上削減され、数千件規模のリストを短期間で生成して即時メール営業へつなげられる体制を実現しています。属人化や入力ミスも解消され、新規アプローチ件数は従来比3倍以上に増加しました。営業準備と配信運用をまとめて仕組み化したことが、今回の成果につながっています。
クライアント概要
今回ご支援したのは、BtoB営業を展開する中小企業です。従業員規模は20名程度で、継続的に新規企業へのアプローチを行いながら、商談機会の創出を進めていました。BtoB営業では、見込み先の選定、リスト整備、連絡手段の管理、配信後の追跡までやることが多く、営業担当者が本来注力すべき提案や商談準備よりも、前段の作業に多くの時間が取られがちです。
特に営業リストづくりを手作業で進めている場合、対象企業の調査、連絡先確認、一覧化、重複削除、配信ツールへの取り込みなど、細かな工程が積み上がります。件数が増えるほど運用が属人化しやすく、入力ミスや更新漏れも起きやすくなります。今回のクライアントでも、営業の母数を増やしたい一方で、その準備作業がボトルネックになっていました。
導入時期は2022年3月です。今回は、営業対象情報の収集・整理から、メール配信、配信結果の可視化までをつなぐ仕組みを構築し、営業活動をより速く、正確に、継続しやすくする体制づくりを支援しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | BtoB営業を展開する中小企業 |
| 従業員規模 | 20名程度 |
| 主な対象業務 | 営業リスト作成、メール配信、配信結果管理 |
| 導入年月 | 2022年3月 |
| 目的 | 営業準備の効率化とアプローチ件数の拡大 |
導入前の課題
最初の課題は、営業リストの作成を担当者が手作業で行っており、大幅な工数がかかっていたことです。営業対象の企業情報を探し、一覧にまとめ、必要項目を整え、重複がないかを確認する作業は、件数が少なくても時間がかかります。件数が増えると、その作業だけで営業活動の前半が埋まってしまい、本来の提案活動へ時間を割きにくくなっていました。
次に、メール配信も外部サービスを利用していたため、リスト連携や管理が煩雑だったことも課題でした。リストを作る場所と、配信する場所が別になっていると、取り込み時の整形、更新反映、配信対象の確認に手間がかかります。結果として、作成したリストをすぐに営業へ活かしにくく、準備から実行までの間にタイムロスが発生していました。
さらに、重複や誤記載によって営業効率が低下していたことも見逃せませんでした。同じ企業へ複数回アプローチしてしまう、表記ゆれで同一企業を別管理してしまう、連絡先情報に不整合があるなど、手作業中心の運用ではこうした問題が起こりやすくなります。営業活動では件数だけでなく、精度も重要なため、この状態は改善が必要でした。
つまり課題の本質は、営業活動そのものではなく、その手前の準備工程に多くの時間と手間がかかっていたことです。今回の支援では、情報収集、整理、配信、結果確認までを一つの流れとして仕組み化することで、営業活動の母数とスピードを両立させることを目指しました。
実施した支援内容
今回の支援では、Pythonを用いてWeb上の公開情報を収集・整理するクローラーを開発し、営業対象情報を効率的に一覧化できる仕組みを構築しました。対象情報を手作業で探してコピーするのではなく、必要な情報を一定ルールで収集・整形することで、営業準備の時間を大幅に短縮できる構成です。
次に、収集した情報はデータベースで一元管理し、重複排除やドメインごとの分類ができるようにしました。営業リストは件数が増えるほど精度管理が重要になります。そこで、単に集めて終わりではなく、同一情報の重複整理、分類、検索性まで考慮した設計にすることで、現場で実際に使いやすい状態を整えています。
さらに、データベースと連携し、システム内から直接メールを一斉配信できる仕組みを構築しました。従来のように別サービスへリストを持ち込む必要がなく、リスト作成から配信までの流れを一つの画面内でつなげています。これにより、営業準備が終わったタイミングですぐ配信へ進める状態をつくることができました。
また、配信結果として、送信成功、エラー、開封状況をダッシュボード化し、営業PDCAに活用できるようにしました。営業メールは送っただけでは改善につながりません。どのセグメントが反応したか、どの条件でエラーが出やすいか、どのタイミングが効果的かを見られることで、配信精度を高めやすくなります。配信まで自動化するだけでなく、その後の改善判断まで見える化したことが今回の大きなポイントです。
今回の支援は、単なるクローラー開発でも、単なる配信システム導入でもありません。営業準備と配信運用をつなぐことで、担当者が営業リストを作る人から、営業機会を増やす人へ役割を移しやすくした点に価値があります。
システム構成と進行の流れ
今回の構成では、Pythonで情報収集処理を行い、Requests、BeautifulSoup、Seleniumを用途に応じて使い分けながら、必要な公開情報を取得・整形しています。その後、収集した情報をMySQLへ蓄積し、PHPで構築した管理画面から、一覧確認、分類、配信対象の選定、一斉配信までを行えるようにしました。
メール配信にはAWS SESを活用し、外部配信サービスへ都度リストを移すことなく、システム内から直接送信できる構成を整えています。これにより、リスト更新と配信の間に発生しがちなタイムラグや、配信対象のズレを減らしやすくなります。加えて、配信結果も同じシステム内へ戻るため、運用が分断されません。
重要だったのは、単に件数を増やすための仕組みにしなかったことです。営業リストは量だけでなく、整理のしやすさ、再利用のしやすさ、配信後の振り返りのしやすさが重要です。そこで今回は、ドメイン分類や重複排除、結果可視化を含めて設計し、運用を積み重ねるほど改善しやすい仕組みにしました。
また、進行面では現状フローを整理し、どの工程が人手作業になっていて、どこでミスが起きやすいのかを洗い出したうえで要件を定義しました。そのため、導入後に「一部だけ自動化されたが全体は楽になっていない」という状態にならず、営業準備から実行までが滑らかにつながる構成に落とし込めています。
- 営業リスト作成と配信運用の現状フローを整理
- 公開情報の収集条件と分類ルールを設計
- Pythonで情報収集クローラーを開発
- MySQLで重複排除・分類可能なデータベースを構築
- PHP管理画面からメール配信まで一元化
- 配信結果ダッシュボードでPDCA運用を整備
導入後の成果
導入後は、営業リスト作成にかかる工数を90%以上削減しました。これまで担当者が手作業で集めていた情報が、自動収集と整理によって短時間で一覧化できるようになったため、準備作業に使っていた時間を大幅に減らせています。営業現場にとって、この改善は件数拡大の前提になる大きな成果です。
また、数千件規模のリストを短期間で生成し、即時にメール営業へ移せる体制が整いました。従来はリスト作成と配信準備の間に時間差がありましたが、今回は同じシステム内で完結できるため、タイミングを逃しにくくなっています。営業活動では、準備と実行の距離が短いほど動きやすくなります。
さらに、メール配信の一元管理によって、属人化やミスを解消できました。担当者ごとにやり方が違う、外部ツールへ持ち込む際にデータが崩れる、同じ相手に重複送信してしまうといった問題が減り、営業運用の安定性が高まっています。標準化された流れを持てたこと自体が大きな価値です。
その結果、新規アプローチ件数は従来比3倍以上に増加しました。単にメールをたくさん送れるようになったというより、営業準備に時間を奪われなくなったことで、より多くの対象へ継続的にアプローチできる状態になったことが、この成果につながっています。
この事例のポイント
今回の事例のポイントは、営業リスト作成とメール配信を別業務として扱わなかったことです。リスト作成だけ自動化しても、配信準備が手作業なら全体は重いままですし、配信だけ高速化してもリストの精度が低ければ成果は出にくくなります。今回はその両方をつなげたことで、実務として使える営業基盤になりました。
また、データベースで重複排除や分類を行えるようにしたことも重要です。営業運用では、件数が増えるほどデータ品質の差が成果に影響します。単なる一覧ではなく、再利用しやすく、整理しやすく、後から改善判断に使えるデータ基盤を持てたことが、継続運用の強みになっています。
さらに、配信結果を可視化したことで、営業活動が感覚ではなく数字ベースで改善しやすくなりました。送信件数だけではなく、送信成功率、エラー傾向、開封状況を見ることで、対象リストの質や配信条件を見直しやすくなります。営業の量だけでなく、質の改善につながる設計になっている点も特徴です。
実務上は、こうしたシステムは「自動化すること」自体が目的ではありません。人がやるべき判断と、人がやらなくてよい繰り返し作業を分けることが本質です。今回の仕組みは、その整理がうまくできたことで、営業活動全体を前に進めやすくしました。
このような事業者に向いています
今回の取り組みは、BtoB営業を継続的に行っている中小企業に特に向いています。新規開拓のために営業リストを作り続けている企業ほど、準備工程の重さが成果に大きく影響します。件数を増やしたいのに準備で止まっている場合は、仕組み化の効果が出やすくなります。
また、外部メール配信サービスとリスト管理が分断されている企業にも相性が良いです。リストの整備、配信対象の選定、送信結果の確認がバラバラだと、運用ミスや属人化が起きやすくなります。一元管理によって、営業活動の再現性を高めやすくなります。
配信結果を営業改善へ活かしたい企業にも向いています。単に配信件数を増やすだけでなく、どのような対象に、どのタイミングで、どの程度反応があるのかを見ながら改善したい場合、ダッシュボードまで含めた仕組みが有効です。営業量と改善の両方を求める企業に適した事例です。
- 営業リスト作成に時間がかかっているBtoB企業
- リスト管理とメール配信を一元化したい中小企業
- 重複や誤記載による営業ミスを減らしたい事業者
- 新規アプローチ件数を増やしたい営業組織
- 配信結果をもとに営業PDCAを回したい企業
使用技術
今回の構築では、Python、PHP、MySQL、AWS SESを活用しています。公開情報の収集にはPythonを用い、Requests、BeautifulSoup、Seleniumで必要な情報を取得・整形しています。そのデータをMySQLへ格納し、PHPで構築した管理画面からリスト確認やメール配信、配信結果確認ができるようにしました。
配信基盤にはAWS SESを採用し、大量送信に対応しながら結果管理と連携しやすい構成にしています。この組み合わせにより、データ収集、管理、配信、可視化までを一つのシステムとしてつなげることができ、営業準備と実行を効率化しやすい環境になりました。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 情報収集 | Python(Requests, BeautifulSoup, Selenium) |
| 管理画面 | PHP |
| データ管理 | MySQL |
| メール配信 | AWS SES |
| 主な対象 | 営業リスト生成、重複排除、メール配信、結果可視化 |
システム画面イメージ
本事例では、記事最下部に実際のシステム画面イメージを掲載しています。営業リストの一覧画面、分類結果、配信管理、ダッシュボードの見え方が分かることで、文章だけでは伝わりにくい運用イメージを補いやすくなります。営業支援システムは機能説明だけではなく、実際の操作画面が見えることで導入後の姿を想像しやすくなります。
特に今回のような一元管理システムでは、「どこで情報を確認するのか」「どこから配信するのか」「結果をどう見るのか」が一画面でつながっていることが重要です。画面イメージを掲載することで、分断された作業が一つの流れに整理されていることも伝わりやすくなります。
また、営業現場では、使いにくいシステムは定着しません。画面設計の分かりやすさや、必要な情報へ素早くたどり着ける構成は、運用定着に直結します。最下部のシステム画面は、今回の仕組みが単に高機能なだけでなく、実務で使いやすい形に落とし込まれていることを示す要素にもなっています。
関連する内容は システム開発・業務改善支援 もあわせて確認すると、判断しやすくなります。
よくある質問
Q. 営業リスト作成の自動化だけでも効果はありますか?
一定の効果はありますが、配信や結果管理が別運用のままだと全体効率は限定されます。今回のように、リスト化から配信、結果確認までつなげることで、より大きな改善につながりやすくなります。
Q. 重複排除や分類機能はなぜ重要ですか?
営業件数が増えるほど、同一対象への重複接触や表記ゆれが成果に影響します。分類や整理ができることで、配信対象の精度を高めやすくなり、営業運用の質も上がります。
Q. 配信結果の可視化で何が変わりますか?
送信件数だけでなく、成功率、エラー傾向、開封状況などが分かることで、どの対象や条件が有効かを見直しやすくなります。営業活動を感覚ではなくデータで改善しやすくなる点が大きな変化です。
Q. 中小企業でもこうした営業支援システムは必要ですか?
はい、むしろ限られた人数で営業を回す中小企業ほど効果が出やすいです。準備作業を自動化し、営業担当者が本来やるべき提案やフォローに集中しやすくなります。
Q. リスト作成から配信運用までまとめて相談できますか?
はい、可能です。情報収集、整理、配信、結果可視化までを一体で設計することで、部分最適ではなく全体最適につながる仕組みを整えやすくなります。
まとめ
BtoB営業では、営業リスト作成、配信準備、結果管理が分断されていると、担当者の工数が増え、営業活動のスピードが落ちやすくなります。今回の事例では、Web上の公開情報を収集・整理し、リスト化からメール配信、結果可視化までを一元化した営業支援システムを構築することで、その分断を解消しました。
その結果、営業リスト作成工数は90%以上削減され、数千件規模のリストを短期間で生成し、即時メール営業へ活用できる体制が整いました。さらに、新規アプローチ件数は従来比3倍以上に増加し、営業運用の属人化やミスも解消されています。営業準備を効率化しながら、改善まで回せる仕組みにできたことが成功要因です。
営業リスト作成に時間がかかっている、配信運用が分断されている、営業PDCAをもっと回しやすくしたいという場合は、準備から配信までを一体で仕組み化することが有効です。
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