
AI導入コンサルやAI導入支援会社に相談したいと思っても、「何をどこまで決めてから依頼すればよいのか」が分からず、最初の一歩で止まってしまうことがあります。
AI導入では、最初から完璧な仕様書を用意する必要はありません。むしろ、最初の段階で大切なのは、細かな機能を決め切ることよりも、誰が判断し、何を確認し、どこまで進め、どこで止めるのかを社内で見える化することです。
この記事では、AI導入会社の選び方や比較ポイントではなく、AI導入コンサルへ依頼する前に、自社側で決めておきたい担当者体制、成果物、作業範囲、変更管理、承認フローを整理します。
AI導入は、ツールやモデルを選ぶだけで進むものではありません。業務課題、データ、社内体制、確認フロー、PoC後の判断条件が曖昧なままだと、提案内容や見積、検証結果の評価がズレやすくなります。
AI導入コンサルへ依頼する前に決めておきたいのは、主に「業務課題」「初期対象範囲」「成功条件・中止条件」「担当者体制」「PoC成果物」「作業範囲と変更管理」「データ管理」の7つです。すべてを完璧に固める必要はありませんが、決まっていること、未確定なこと、外部支援先に相談したいことを分けておくと、相談や見積、PoC設計が進めやすくなります。
AI導入コンサルへ依頼する前に必要なのは、完璧な仕様書より判断体制
仕様が固まっていなくても相談はできる
AI導入の相談では、「まだ要件が固まっていないから、相談してはいけないのでは」と考えてしまうことがあります。
しかし、AI導入では、最初からすべての仕様を固めきるのが難しい場合もあります。どの業務にAIを使えるのか、どのデータが使えるのか、PoCで何を確認すべきかは、相談しながら整理していくこともあります。
ただし、何も決まっていないまま相談すると、外部支援先との打ち合わせが「AIで何かできないか」という曖昧な話になりやすくなります。実務では、仕様の細かさより先に、課題、対象範囲、判断者、確認フローが曖昧なことで進行が止まることがあります。
依頼前に最低限整理しておきたいのは、細かな仕様ではなく、次のような項目です。
- どの業務を改善したいのか
- どこまでを初期対象にするのか
- 何をもって前進と判断するのか
- 誰が社内で判断するのか
- どの情報は外部に出せないのか
- 何がまだ未確定なのか
要件が固まっていない段階でも、こうした論点が整理されていれば相談は進めやすくなります。AIコンサルの役割自体を確認したい場合は、AIコンサルとは?企業のAI導入を支援するサービスを解説も参考になります。
外部支援先に丸投げしないために、自社側の役割を決める
AI導入コンサルへ依頼するときに注意したいのは、外部支援先にすべてを丸投げしないことです。
AIの技術やPoCの進め方は、外部支援先が支援できます。一方で、自社の業務課題、現場の例外処理、使えるデータ、社内の承認ルートは、自社側でしか分からない部分です。
そのため、依頼前には「外部支援先に任せること」と「自社側で決めること」を分けておく必要があります。
AI導入会社の比較や選び方そのものは、別の記事で整理しています。支援先の比較軸を確認したい場合は、AI導入会社の選び方を参考にしてください。
この記事では、そこから一歩進んで、依頼する前に社内側で決めることを整理していきます。
AI導入を外部に相談するときほど、自社側の役割を曖昧にしないことが重要です。誰が課題を説明し、誰が現場確認を行い、誰が本番移行を判断するのかが見えていると、外部支援先も提案やPoCの設計をしやすくなります。
AI導入コンサルへ依頼する前に整理したい6項目
AI導入コンサルへ依頼する前に、まずは全体像を整理しておきましょう。細かな仕様ではなく、次のような項目を社内側で確認しておくと、外部支援先との相談が進めやすくなります。
| 決める項目 | 自社側で確認すること | 外部支援先に伝えること |
|---|---|---|
| 業務課題 | どの業務で困っているか | 改善したい業務と背景 |
| 初期対象範囲 | 最初にどの部門・業務を対象にするか | PoCや初期導入の対象範囲 |
| 成功条件・中止条件 | 何をもって前進・見直しとするか | 評価基準と判断タイミング |
| データ | 使える情報、使えない情報、管理者 | データの種類、場所、利用制約 |
| 社内制約 | セキュリティ、法務、予算、決裁ルート | 提案時に考慮してほしい制約 |
| 未確定事項 | 社内で未決定の論点 | 相談したいこと、PoCで検証したいこと |
解決したい業務課題
まず整理したいのは、AIで何を改善したいのかです。
「AIを使いたい」だけでは、相談内容が広くなりすぎます。問い合わせ対応を効率化したいのか、社内FAQを整備したいのか、議事録作成を楽にしたいのか、書類確認を補助したいのかによって、必要なデータも進め方も変わります。
依頼前には、次のように業務課題をできるだけ具体化します。
- どの業務に時間がかかっているのか
- 誰の負担が大きいのか
- どの工程で手戻りが起きているのか
- 何が改善されれば前進といえるのか
AI導入は、AIでできることから逆算するより、現場のどの業務をどう変えたいかから考える方が現実的です。
業務課題を言語化できていると、外部支援先から出てくる提案も比較しやすくなります。逆に、課題が曖昧なままだと、PoCの評価も「何となく便利そう」「思ったほど使えない」といった感覚的な判断になりやすくなります。
初期対象にする範囲
次に、最初にどこまでを対象にするかを決めます。
AI導入では、最初から全社導入を前提にすると、対象範囲が広がりすぎてPoCの判断が難しくなることがあります。まずは、対象部門、対象業務、対象データ、対象期間を区切って考える方が進めやすくなります。
たとえば、社内FAQ全体ではなく「営業部門の問い合わせ対応だけ」、書類確認全体ではなく「特定の申請書類だけ」のように、初期対象を絞る方法があります。
初期対象を絞ることで、外部支援先も提案しやすくなり、PoCの成果も評価しやすくなります。
最初から大きく作り込みすぎると、データの確認、権限設計、現場説明、費用、スケジュールが一気に複雑になります。小さく始めて、検証結果を見ながら広げる前提にすると、変更管理もしやすくなります。
成功条件と中止条件
AI導入では、何をもって成功とするかを事前に決めておくことが重要です。
成功条件は、必ずしも売上や削減時間のような大きな数値だけではありません。たとえば、次のような条件も判断材料になります。
- 現場担当者が使えると判断できる
- 回答確認の手間が許容範囲に収まる
- 誤回答時の確認フローが決められる
- 既存業務に無理なく組み込める
- 本番化に必要な追加作業が見える
同時に、中止条件や見直し条件も考えておく必要があります。PoCは、必ず本番化するための儀式ではありません。条件を満たさない場合に、立ち止まる判断をするための材料でもあります。
成功条件だけでなく中止条件も決めておくと、PoC後の判断がしやすくなります。たとえば、必要なデータがそろわない、現場の確認工数が大きすぎる、個人情報や営業秘密の扱いに課題が残る、といった場合は、対象範囲の変更や再設計を検討する材料になります。
使えるデータと使えないデータ
AI導入では、使えるデータの状態が重要です。
社内には、Excel、メール、クラウドストレージ、業務システム、紙資料など、さまざまな場所に情報が分散していることがあります。その中で、どのデータを使えるのか、どれが正本なのか、誰が管理しているのかを確認しておく必要があります。
また、使えるデータだけでなく、使ってはいけないデータも整理します。
- 個人情報
- 営業秘密
- 顧客情報
- 契約情報
- 社外秘の資料
- 利用規約上、外部AIに入力できない情報
生成AIを業務で使う場合は、入力情報や確認フローの整理も重要です。詳しくは生成AIを業務で使う前に決める社内ルールで整理しています。
データの状態は、AIの精度だけでなく、PoCの進め方や成果物の定義にも関わります。データが不足している場合、PoCの目的を「精度検証」ではなく「必要データの整理」に置く方がよいケースもあります。
社内制約
AI導入では、技術面だけでなく社内の制約も確認します。
たとえば、次のような制約です。
- 既存システムとの接続条件
- クラウドサービスの利用可否
- 情報セキュリティルール
- 法務確認が必要な情報
- 現場の繁忙期
- 決裁スケジュール
- 予算の上限
- 社内説明が必要な範囲
こうした制約が後から出てくると、PoCが進んだ後に止まってしまうことがあります。依頼前にすべてを解決する必要はありませんが、少なくとも「確認が必要な制約」として見える化しておくことが大切です。
社内制約は、外部支援先にとっても重要な前提条件です。どのクラウドサービスが使えるのか、どのデータを社外に出せないのか、どのタイミングで決裁が必要なのかが分かっていると、提案内容やスケジュールを現実に合わせやすくなります。
未確定事項
依頼前に、すべてを決めきる必要はありません。むしろ、決まっていないことを無理に隠すと、後で認識ズレが起きやすくなります。
大切なのは、未確定事項を次のように分けることです。
- 社内で決めるべきこと
- 外部支援先に相談したいこと
- PoCで検証したいこと
- 法務や情シスに確認したいこと
- 決裁者の判断が必要なこと
未確定事項を整理しておくと、外部支援先との打ち合わせで「何を相談すればよいか」が明確になります。
未確定事項があること自体は問題ではありません。問題になりやすいのは、未確定事項が見えないまま見積やPoCが進み、途中で前提が変わることです。
AI導入プロジェクトの担当者体制を決める
主担当者は、社内窓口だけでなく判断整理を担う
AI導入プロジェクトでは、主担当者を決める必要があります。
ただし、主担当者は外部支援先からの連絡を受けるだけの人ではありません。実際には、社内の論点を整理し、現場担当者や決裁者、情報システム部門、法務担当へ確認をつなぐ役割も担います。
主担当者が名前だけになっていると、打ち合わせのたびに判断が止まりやすくなります。
依頼前には、主担当者について次を確認します。
- 外部支援先との窓口になれるか
- 社内の確認先を把握しているか
- 会議や議事録確認の時間を取れるか
- 現場担当者へ確認できるか
- 決裁者へ判断材料を上げられるか
主担当者には、一定の稼働時間も必要です。AI導入では、ヒアリング、データ確認、PoC結果の確認、社内持ち帰り、会議調整などが発生します。名前だけ決めても時間が取れなければ、外部支援先とのやり取りが止まりやすくなります。
現場担当者は、業務の実態と例外処理を確認する
AI導入では、現場担当者の関与が重要です。
現場担当者は、実際の業務フロー、例外処理、入力の揺れ、使い勝手、判断に迷う場面を知っています。外部支援先や主担当者だけでは、こうした細かな実務のズレに気づけないことがあります。
PoCの評価でも、現場担当者の確認は欠かせません。実際に使えるのか、確認工数は増えすぎないか、誤回答が出たときにどう扱うかを確認する必要があります。
現場担当者は、必要なときだけ呼ぶ人ではなく、PoC評価や受入判断に関わる人として最初から位置づけておくことが大切です。
現場担当者の関与が弱いと、PoC上は動いたとしても、実際の運用では使われない可能性があります。導入前の段階から、現場の稼働時間や確認タイミングを予定に入れておくことが重要です。
決裁者は、費用だけでなく本番移行や中止も判断する
決裁者は、費用承認だけをする人ではありません。
AI導入では、PoC後に本番へ進むか、対象範囲を変えるか、いったん中止するかを判断する場面があります。そのため、決裁者には、PoCの前から判断基準を共有しておく必要があります。
たとえば、次のような点です。
- どの条件を満たせば本番へ進むのか
- どの条件なら見直すのか
- どの費用範囲までなら再承認なしで進めるのか
- どの変更は決裁者承認が必要なのか
決裁者がPoC後に初めて内容を知る状態だと、判断が遅れたり、期待値がズレたりしやすくなります。
AI導入では、前進する判断だけでなく、立ち止まる判断にも責任者が必要です。決裁者を費用承認の人としてだけでなく、PoC後の進退判断を行う人として位置づけておくと、プロジェクトの進め方が明確になります。
情報システム・法務は契約直前ではなく早めに巻き込む
AI導入では、情報システム部門や法務担当を後回しにしないことが重要です。
情報システム部門は、既存システムとの接続、アクセス権限、ログ管理、セキュリティ、テスト環境、本番環境などを確認します。法務担当は、個人情報、営業秘密、外部サービスの利用条件、契約上の確認事項などを見ます。
これらを契約直前に初めて確認すると、PoCや本番移行のタイミングで止まることがあります。
個別契約や法的判断は専門家確認が必要ですが、依頼前の段階でも「誰が、いつ、何を確認するか」は決めておくべきです。
とくに、PoCで実データや外部AIサービスを使う可能性がある場合は、PoCだから軽く扱ってよいとは考えない方が安全です。テスト段階でも、入力情報、権限、ログ、利用条件の確認は必要になります。
RACIのような責任分担表で見える化する
担当者体制を整理するときは、RACIのような責任分担表を参考にできます。
RACIとは、簡単に言えば、次を整理する考え方です。
- 誰が実行するのか
- 誰が最終判断するのか
- 誰に相談するのか
- 誰へ共有するのか
RACIを必ず作らなければいけないわけではありません。大切なのは、論点ごとに誰が判断するかを見える化することです。
たとえば、課題整理は主担当者と現場担当者、データ確認は情報システム部門、個人情報の扱いは法務担当、本番移行判断は決裁者というように、役割を分けておくと相談が進めやすくなります。
役割分担は、細かく作り込みすぎる必要はありません。まずは、重要な判断項目ごとに「実行する人」「最終判断する人」「相談する人」「共有する人」を決めるだけでも、依頼後の混乱を減らしやすくなります。
| 役割 | 主に確認すること | 依頼前に決めておくこと |
|---|---|---|
| 主担当者 | 外部支援先との窓口、社内論点の整理 | 誰が窓口になり、社内確認を進めるか |
| 現場担当者 | 業務フロー、例外処理、使い勝手 | PoC評価や受入確認に誰が関わるか |
| 決裁者 | 費用、本番移行、中止判断 | どの条件で承認・見直しを行うか |
| 情報システム部門 | 既存システム、権限、ログ、セキュリティ | いつ、どの範囲を確認するか |
| 法務担当 | 個人情報、営業秘密、外部サービス利用条件 | どの情報・契約を確認するか |
| 外部支援先 | 技術提案、PoC設計、成果物作成 | 自社側から何を共有するか |
PoCの成果物と本番移行条件を決める
PoCは、AI導入の実現性や運用上の課題を小さく検証し、本番へ進むかどうかを判断するための工程です。
PoC成果物は、試作モデルだけではない
AI導入のPoCでは、試作モデルや検証環境だけを成果物と考えがちです。
しかし、PoCの目的は、次へ進むかどうかを判断する材料を得ることです。そのため、成果物には、技術的なものだけでなく、判断材料や運用接続のための資料も含めて考える必要があります。
たとえば、次のようなものです。
- PoC計画書
- 評価レポート
- 判定メモ
- 議事録
- 試作モデル
- 検証環境
- 評価データ
- テスト結果
- 業務フロー案
- 利用ルール案
- 残課題一覧
- 本番移行時の追加作業一覧
成果物を曖昧にしたまま依頼すると、外部支援先は「レポート納品」を想定しているのに、自社側は「すぐ使える仕組み」を期待していた、というズレが起きることがあります。
成果物を3種類に分けて考える
PoC成果物は、次の3種類に分けると整理しやすくなります。
| 成果物の種類 | 例 | 依頼前に確認すること |
|---|---|---|
| 判断材料としての成果物 | PoC計画書、評価レポート、判定メモ、議事録 | 何をもって前進・中止を判断するか |
| 技術的成果物 | 試作モデル、検証環境、評価データ、テスト結果 | どこまでをPoC範囲に含めるか |
| 運用接続の成果物 | 業務フロー案、利用ルール案、残課題一覧、本番移行時の追加作業一覧 | 本番化する場合に何が必要か |
このように分けておくと、外部支援先との認識を合わせやすくなります。
PoC成果物は、単に「何を納品してもらうか」ではありません。社内で次の判断をするために、どの情報が必要かを整理するものです。
本番移行条件と中止条件を決める
PoCは、本番化するためだけに行うものではありません。
条件を満たせば本番へ進む。条件を満たさなければ、見直す、縮小する、中止する。こうした判断をするための材料を得るのもPoCの役割です。
依頼前には、次のような条件を考えておきます。
- 現場で使えると判断できるか
- 確認工数が増えすぎないか
- 必要なデータがそろっているか
- 個人情報や営業秘密の扱いに問題がないか
- 既存システムとの接続が現実的か
- 追加費用や追加作業が許容範囲か
- 本番化後の運用担当者が決まっているか
PoCは成功を確認するだけでなく、前に進まない判断をするための材料を得る工程でもあります。
PoC後の運用見直しまで意識したい場合は、導入後30日・60日・90日の運用チェックリストも参考になります。
本番移行条件を先に置いておくと、PoC後の社内説明もしやすくなります。逆に、条件がないままPoCを行うと、「良さそうだが、次に進めるかは分からない」という状態で止まりやすくなります。
SOW・作業範囲・変更管理を整理する
SOWは、作業範囲と成果物をそろえるための整理
SOWという言葉を聞くと、難しい契約文書のように感じるかもしれません。
この記事では、SOWを「何を依頼し、何を成果物とし、どこまでを作業範囲にするかを整理する文書」として扱います。法的な判断や契約条項の妥当性については、必要に応じて専門家へ確認してください。
依頼前に整理したいのは、次のような項目です。
- 何を依頼するのか
- 何を成果物とするのか
- どこまでが対象範囲なのか
- 何が対象外なのか
- 何をもって受け入れるのか
- 変更が出たときにどう確認するのか
SOWや作業範囲の整理は、相手を疑うためのものではありません。外部支援先と自社側の認識をそろえるためのものです。とくにAI導入では、進めながら分かることも多いため、最初に前提をそろえておくことが重要です。
対象外範囲を決めると、追加費用の認識ズレを減らしやすい
AI導入では、進めながら追加要望が出ることがあります。
たとえば、次のような場面です。
- 追加データを使いたい
- 対象業務を広げたい
- PoCをもう一度実施したい
- 既存システムと連携したい
- 外部サービスを追加したい
- 社内説明や教育も依頼したい
- 本番移行まで支援してほしい
これらが最初の作業範囲に含まれているのか、追加対応になるのかを確認しておくと、後から認識がズレにくくなります。
ここで大切なのは、「安い・高い」だけで判断しないことです。見積金額を見るときは、何が含まれていて、何が対象外なのかを一緒に確認する必要があります。
変更管理は、追加要望が出たときの確認・承認ルール
変更管理は、変更を禁止するためのものではありません。
追加要望が出たときに、影響範囲、費用、スケジュール、成果物への影響を確認し、誰が承認するかを決めるための整理です。
AI導入では、PoCの途中で新しいデータを使いたくなったり、対象業務を広げたくなったり、既存システムとの連携が必要になったりすることがあります。
そのため、依頼前に次の流れを決めておくと安心です。
- 追加要望を出す
- 影響範囲を確認する
- 費用やスケジュールへの影響を確認する
- 必要なら再見積りを行う
- 誰が承認するかを決める
- 実施後に記録を残す
AI導入は進めながら分かることも多いため、変更をゼロにするより、変更が起きたときの合意方法を先に決めておく方が現実的です。
変更管理を決めておくと、追加要望が出たときに「言った・言わない」ではなく、影響と判断を確認しながら進められます。
| 変更が起きやすい場面 | 確認すること | 承認が必要な人 |
|---|---|---|
| 追加データを使う | 利用可否、個人情報、データ整備の工数 | 主担当者、情シス、法務 |
| 対象業務を広げる | 追加範囲、現場確認、PoC再設計の必要性 | 主担当者、現場担当者、決裁者 |
| PoCを再実施する | 再実施の目的、費用、スケジュール | 主担当者、決裁者 |
| 既存システムと連携する | 接続方法、セキュリティ、運用負荷 | 情シス、決裁者 |
| 外部サービスを追加する | 利用条件、費用、データの扱い | 主担当者、法務、情シス |
| 本番移行範囲を広げる | 運用体制、教育、追加費用 | 決裁者、主担当者 |
データ管理・セキュリティ・個人情報の確認体制を決める
入力してよい情報と入力してはいけない情報を分ける
AI導入では、どの情報を使うかを依頼前に整理します。
特に生成AIや社内データ検索を使う場合は、入力してよい情報と、入力してはいけない情報を分ける必要があります。
確認したい項目は、次のとおりです。
- 個人情報を含むか
- 営業秘密を含むか
- 顧客情報を含むか
- 契約情報を含むか
- 外部AIサービスに入力できるか
- 学習利用の扱いを確認しているか
- 社内規程に反していないか
PoC段階でも、社内データや個人情報の扱いを軽く見ないことが重要です。
AI導入では、「本番ではないから大丈夫」と考えるのは危険です。PoCでも実データを使う場合は、利用目的、入力範囲、アクセス権限、外部サービスでの扱いを確認しておく必要があります。
アクセス権限・ログ・社内データの扱いを確認する
社内データを使う場合は、誰がどの情報を見られるかも重要です。
たとえば、RAGや社内データ検索を使う場合、社内のすべての資料を誰でも見られる状態にしてよいわけではありません。部署ごとの権限、機密区分、ログ、参照範囲を確認する必要があります。
情報システム部門や法務担当は、契約直前ではなく、PoC設計やデータ確認の段階から巻き込んでおく方が安全です。
アクセス権限やログ管理は、後から整えようとすると大きな手戻りになることがあります。依頼前に、どのデータを使う可能性があるのか、誰が確認するのかを決めておくと、PoCの設計も現実に合わせやすくなります。
AI導入コンサル依頼前チェックリスト
AI導入コンサルへ依頼する前に、次の項目を確認しておきましょう。
- 解決したい業務課題は何か
- 初期対象にする業務はどこか
- 成功条件は何か
- 中止・見直し条件は何か
- 使うデータはどこにあるか
- 使えないデータは何か
- 主担当者は誰か
- 現場担当者は誰か
- 決裁者は誰か
- 情報システム部門はいつ確認するか
- 法務担当はいつ確認するか
- PoC成果物は何か
- 本番移行条件は何か
- 作業範囲はどこまでか
- 対象外範囲は何か
- 変更時の承認フローはあるか
- 追加費用が出やすい場面を確認したか
- 議事録や定例会の運用を決めたか
すべてを完璧に決める必要はありません。大切なのは、決まっていること、決まっていないこと、相談したいことを分けることです。
このチェックリストは、外部支援先との打ち合わせ前だけでなく、PoC開始前、見積確認前、社内説明前にも使えます。すべてを一度に埋めるのではなく、決まっていない項目を「次に確認すること」として残しておくと進めやすくなります。
AI導入コンサルへ依頼する前に迷ったら、現状整理から始める
要件が固まっていなくても、整理できることから始める
AI導入では、「何を作るか」がまだ決まっていない段階でも相談できることがあります。
ただし、その場合でも、業務課題、対象範囲、成功条件、データ状況、社内体制を整理しておくと、相談は進めやすくなります。
たとえば、最初は次のような整理から始められます。
- どの業務を変えたいのか
- 誰が困っているのか
- どの情報を使えそうか
- 誰が確認するのか
- 何が決まっていないのか
要件が固まっていない段階でも、未確定事項を相談したい論点として分けておけば、AI導入の相談は進めやすくなります。
要件が未確定なこと自体は、必ずしも問題ではありません。むしろ、最初から無理に仕様を決めようとすると、現場の実態やデータの状態と合わない計画になることがあります。まずは現状整理から始める方が、AI導入の方向性を決めやすくなります。
LinkTachでは、業務整理からAI導入準備を支援します
AI導入コンサルへ依頼する前に、担当者体制や成果物、作業範囲が曖昧な場合は、まず現状整理から始めると相談しやすくなります。
LinkTachでは、AIありきではなく、業務課題の整理、人・AI・システムの役割分担、PoC設計、運用改善まで見据えた導入準備を支援します。
AI導入前の業務整理や、担当者体制・PoC設計・作業範囲の整理でお悩みの場合は、LinkTachのシステム開発・AI活用支援で、現状整理から段階的にご相談いただけます。
よくある質問
- AI導入コンサルへ依頼する前に、社内で決めるべきことは何ですか?
- 業務課題、初期対象範囲、成功条件・中止条件、担当者体制、PoC成果物、作業範囲、変更管理、データ管理を整理しておくと相談しやすくなります。すべてを完璧に決める必要はありませんが、決まっていることと未確定事項を分けておくことが大切です。
- AI導入コンサルへ依頼する前に、仕様書は必要ですか?
- 完璧な仕様書までは必要ありません。ただし、解決したい業務課題、初期対象にする範囲、成功条件、社内の判断者、使えるデータの状態は整理しておくと相談しやすくなります。
- AI導入プロジェクトの主担当者は誰にすべきですか?
- 外部支援先との窓口になれるだけでなく、現場担当者、決裁者、情報システム部門、法務担当へ確認をつなげられる人が望ましいです。名前だけの担当者ではなく、社内調整の時間を確保できることが重要です。
- PoCの成果物は何を決めておけばよいですか?
- PoC成果物は、試作モデルだけではありません。評価レポート、判定メモ、検証結果、業務フロー案、利用ルール案、残課題一覧など、次へ進むかどうかを判断する材料も成果物として整理しておくとよいです。
- SOWや作業範囲はどこまで決めるべきですか?
- 何を依頼し、何を成果物とし、どこまでが対象範囲で、何が対象外なのかを整理しておくと、外部支援先との認識を合わせやすくなります。個別契約の判断は、必要に応じて専門家へ確認してください。
- AI導入で変更管理が必要になるのはどんな場面ですか?
- 追加データを使う、対象業務を広げる、PoCを再実施する、既存システムと連携する、外部サービスを追加する、本番移行の範囲を広げるといった場面で必要になりやすいです。
- 情報システム部門や法務担当はいつ巻き込むべきですか?
- 契約直前ではなく、PoC設計やデータ確認の段階から関与してもらう方が安全です。個人情報、営業秘密、アクセス権限、外部サービスの利用条件などを早めに確認できます。
- 要件が固まっていなくてもAI導入の相談はできますか?
- 相談できます。ただし、何が決まっていて、何が未確定で、何を相談したいのかを分けておくことが大切です。業務課題、対象範囲、判断体制を整理しておくと、相談の質が上がります。
AI導入の相談前に、業務整理から始めませんか
AI導入コンサルへ依頼する前に、担当者体制や成果物、作業範囲が曖昧な場合は、まず業務整理と役割分担から始めると相談しやすくなります。
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