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業務システムの導入を検討する際、SaaSを利用するか、スクラッチで開発するかは多くの企業が直面する選択です。どちらにもメリットとデメリットがあり、自社の状況に合わせた判断が求められます。

この記事では、SaaSとスクラッチ開発の違いを整理し、比較すべきポイントや判断軸をわかりやすく解説します。名称のイメージだけで決めるのではなく、確認すべき観点を押さえることで、後悔しにくい選択につながります。

SaaSとスクラッチ開発の基本的な違い

SaaSとスクラッチ開発は、システムの提供形態と開発方法において根本的に異なります。

SaaSは、ベンダーが提供するクラウド上のソフトウェアを、インターネット経由で利用する形態です。すでに完成した製品を月額や年額で契約し、ブラウザやアプリからアクセスして使います。開発の手間はなく、導入までの期間が短いのが特徴です。詳しくはSaaSとはの記事で解説しています。

一方、スクラッチ開発は自社の要件に合わせてゼロからシステムを構築する方法です。設計・開発・テスト・運用まで、すべてを自社または外部の開発会社と協力して進めます。自由度が高く、独自の業務フローや複雑な要件にも対応できます。

どちらが優れているかは一概には言えません。自社の業務内容、予算、スケジュール、運用体制によって適した選択肢は変わります。

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SaaSとスクラッチ開発の選定基準表

以下の表は、SaaSとスクラッチ開発を比較する際の主な観点を整理したものです。判断の参考にしてください。

比較項目SaaSスクラッチ開発
初期費用低い(月額・年額課金)高い(開発費用が発生)
導入期間短い(数日〜数週間)長い(数ヶ月〜数年)
カスタマイズ性限定的(設定範囲内)高い(要件に応じて自由に設計)
運用・保守ベンダー側が対応自社または外部委託が必要
セキュリティ対応ベンダー側が実施自社で設計・運用が必要
機能追加・更新ベンダー主導で自動更新自社で計画・実施が必要
データの所在ベンダーのクラウド環境自社環境またはクラウド選択可
契約形態サブスクリプション買い切りまたは保守契約
他システム連携API提供範囲に依存自由に設計可能
利用停止時の影響データ移行が必要自社資産として残る

この表はあくまで一般的な傾向です。SaaS製品の中にもカスタマイズ性の高いものがあり、スクラッチ開発でもクラウドシステムを選べば運用負荷を抑えられます。

SaaSとスクラッチ開発を比較する際のポイント

選定を進める前に、以下のポイントを確認しておくと判断がしやすくなります。

業務フローの標準化が可能か

SaaSは既存の機能を活用する前提のため、業務フローをある程度標準化できる場合に適しています。逆に、独自の業務ルールや複雑なワークフローがある場合は、スクラッチ開発のほうが柔軟に対応できます。

自社の業務が一般的なプロセスに近いか、特殊な手順が多いかを整理してみてください。

導入スピードと予算のバランス

SaaSは初期費用を抑えて早期に導入できますが、長期的には月額費用が積み重なります。スクラッチ開発は初期投資が大きいものの、長期運用では費用対効果が高まる場合もあります。

導入を急ぐ必要があるか、予算を分散させたいか、それとも初期投資を集中させて長期的に使いたいかを検討してください。

運用体制とリソースの有無

スクラッチ開発では、システムの運用・保守を自社で担う必要があります。社内にエンジニアがいない場合や、運用リソースを確保できない場合は、SaaSのほうが現実的です。

逆に、社内に技術者がいて継続的な改善を進めたい場合は、スクラッチ開発のほうが柔軟に対応できます。

データの管理方針とセキュリティ要件

SaaSではデータがベンダーのクラウド環境に保存されるため、データの所在地や取り扱い方針を確認する必要があります。特に個人情報や機密情報を扱う場合は、ベンダーのセキュリティ対策やプライバシーポリシーを慎重に確認してください。

スクラッチ開発では、データの保存場所や暗号化方針を自社で設計できますが、その分セキュリティ対策の責任も自社に帰属します。

将来的な拡張性と他システム連携

業務の拡大や他システムとの連携を見据える場合、拡張性は重要な判断材料です。SaaSはAPI連携の範囲が限定されることがあり、将来的に他のツールと統合したい場合に制約となる可能性があります。

スクラッチ開発では、連携方法を自由に設計できるため、将来的な拡張を見据えた設計が可能です。

失敗しやすい選び方と注意点

選定時によくある失敗パターンを知っておくと、判断ミスを防ぎやすくなります。

名称やイメージだけで判断する

「SaaSは安い」「スクラッチは高い」といった一般論だけで判断すると、実際の費用や運用負荷を見誤ることがあります。SaaSでも利用人数や機能追加で費用が膨らむケースがあり、スクラッチ開発でもクラウド環境を活用すれば運用コストを抑えられます。

名称のイメージではなく、具体的な見積もりや運用シミュレーションをもとに判断してください。

初期費用だけで比較する

初期費用の安さに惹かれてSaaSを選んだものの、月額費用が積み重なり、数年後にはスクラッチ開発よりも高額になるケースがあります。逆に、初期費用が高いからとスクラッチ開発を避けた結果、業務に合わないSaaSを使い続けることになる場合もあります。

初期費用だけでなく、3年後・5年後の総コストを試算してから判断することが大切です。

カスタマイズ性を過信する

SaaSの中には「カスタマイズ可能」と謳っている製品もありますが、実際には設定項目の範囲内でしか調整できないことがあります。契約前に、どこまでカスタマイズできるのかを具体的に確認してください。

スクラッチ開発でも、後から仕様変更を繰り返すと開発期間とコストが膨らみます。要件定義の段階で、必要な機能と優先順位を明確にしておくことが重要です。

運用体制を考慮しない

スクラッチ開発を選んだものの、運用・保守を担える人材がおらず、結局外部委託でコストがかさむケースがあります。逆に、SaaSを選んだものの、ベンダーのサポート体制が不十分で、トラブル時に対応が遅れることもあります。

導入後の運用体制を事前に整理し、自社で対応できる範囲と外部に依頼する範囲を明確にしてください。

SaaSとスクラッチ開発の判断軸

最終的な判断を下す前に、以下の軸で自社の状況を整理してみてください。

業務の標準化が可能か

  • 一般的な業務フローに近い → SaaSが適している可能性が高い
  • 独自のルールや複雑なプロセスがある → スクラッチ開発が適している可能性が高い

導入スケジュールに余裕があるか

  • 早期に導入したい → SaaSが適している
  • 時間をかけて要件を固めたい → スクラッチ開発が適している

予算の使い方をどう考えるか

  • 初期費用を抑えたい → SaaSが適している
  • 長期的なコストを抑えたい → スクラッチ開発が適している場合もある

運用リソースを確保できるか

  • 社内にエンジニアがいない → SaaSが適している
  • 社内で運用・改善を進めたい → スクラッチ開発が適している

データ管理とセキュリティの方針

  • ベンダーに任せても問題ない → SaaSが適している
  • 自社で管理したい → スクラッチ開発が適している

これらの軸を組み合わせて、自社にとって優先すべき要素を整理してください。すべての条件を満たす選択肢は存在しないため、何を重視するかを明確にすることが大切です。

まとめ

SaaSとスクラッチ開発は、それぞれ異なる特性を持つ選択肢です。どちらが優れているかは、自社の業務内容、予算、スケジュール、運用体制によって変わります。

選定の際は、名称のイメージや初期費用だけで判断せず、業務フローの標準化可能性、導入スピード、運用リソース、データ管理方針、将来的な拡張性といった観点を総合的に確認してください。

判断に迷う場合や、自社に合った選択肢を整理したい場合は、専門家に相談することも有効です。

よくある質問

Q. SaaSとスクラッチ開発、どちらが安く済みますか?
初期費用だけで比較するとSaaSが安く見えますが、長期的な総コストは利用人数や契約期間によって変わります。3年後・5年後の総コストを試算し、初期投資と月額費用のバランスを確認してください。

Q. SaaSでもカスタマイズはできますか?
SaaS製品によっては設定項目の範囲内でカスタマイズが可能ですが、自由度はスクラッチ開発に比べて限定的です。契約前に、どこまでカスタマイズできるのか、具体的な設定項目や制約を確認することが重要です。

Q. スクラッチ開発を選ぶ場合、運用は自社で対応する必要がありますか?
スクラッチ開発では運用・保守を自社で担うか、外部に委託するかを選べます。社内にエンジニアがいない場合は、開発会社と保守契約を結ぶことで運用負荷を軽減できます。導入前に運用体制を整理しておくことが大切です。

Q. SaaSを選んだ後、他のシステムと連携できますか?
SaaSの多くはAPI連携に対応していますが、連携できる範囲はベンダーの提供内容に依存します。契約前に、連携したいシステムとの互換性やAPI仕様を確認してください。

Q. 業務フローが特殊な場合、SaaSは向いていませんか?
業務フローが特殊でも、SaaSの機能に合わせて業務を標準化できる場合は導入可能です。逆に、業務フローを変更できない場合や、複雑なルールがある場合は、スクラッチ開発のほうが柔軟に対応できます。

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