
DX支援会社やDXコンサルに相談したいと思っても、「何を準備して問い合わせればよいのか分からない」と感じることは少なくありません。
「DXを進めたい」「業務を効率化したい」「システムやツールを入れたい」という気持ちはあっても、自社の課題や対象業務が曖昧なままだと、支援会社ごとの提案内容がばらつき、比較しにくくなることがあります。
この記事では、DX支援会社を選ぶ前に、自社側で整理しておきたいことを実務チェックリストとしてまとめます。支援会社のランキングや比較表ではなく、相談前に何を言語化しておくとよいかを中心に解説します。DX支援会社へ相談する前に必要なのは、完成した要件定義書ではありません。まずは、課題、対象業務、既存環境、優先順位、社内体制を整理し、比較前の前提をそろえることが大切です。
DX支援会社に相談する前に、まず整理しておきたいこと
完璧な要件定義までは不要
DX支援会社に相談する前に、完璧な要件定義書や詳細な仕様書を用意する必要はありません。
まだツール名が決まっていない、システム化する範囲が曖昧、社内で意見がまとまっていない。こうした段階でも、相談そのものは可能です。
ただし、何に困っていて、どの業務を変えたいのかが曖昧なままだと、提案内容を比べにくくなります。
たとえば、同じ「業務を効率化したい」という相談でも、支援会社によって提案は変わります。ある会社はSaaS導入を提案し、別の会社は業務フローの見直しを提案し、また別の会社は個別システム開発やAI活用を提案するかもしれません。
どれが良い・悪いという話ではありません。前提がそろっていないと、提案の内容や費用感、進め方を横並びで見にくくなるということです。
DXだけでなく、AIやシステム導入も含めて広く相談前の整理項目を確認したい場合は、DX・AI・システム導入を相談する前に整理すべきことも参考になります。
相談前整理の目的は、提案を比較しやすくすること
相談前の整理は、支援会社に任せる範囲を狭めるためのものではありません。
自社の状況を共有しやすくし、支援会社から出てくる提案を比較しやすくするための前提づくりです。
支援会社を選ぶ前に大切なのは、「どの会社がよいか」よりも先に、「自社は何を相談したいのか」を言葉にすることです。
DXは、単なるツール導入だけではなく、業務の流れや社内の進め方にも関わります。そのため、相談前には「何を導入するか」よりも、「どの業務をどう変えたいか」を整理しておく方が、支援会社との話を進めやすくなります。
相談前に整理しておきたい基本項目は、次の5つです。
- 現状の課題
- 対象業務・対象部門
- 既存ツール・既存システム
- 優先順位・予算感・希望時期
- 社内体制・決裁者・担当者
この5つがある程度見えていると、初回相談で「何を聞けばよいか」「何を比べればよいか」が分かりやすくなります。
DX支援会社へ相談する前の実務チェックリスト
DX支援会社に相談する前は、難しい資料を作るよりも、まず相談材料を整理することが大切です。
以下の表は、初回相談前に確認しておきたい項目です。
| 整理する項目 | 確認する内容 | 支援会社に伝えること |
|---|---|---|
| 現状課題 | どの業務で、誰が、何に困っているか | 困っている業務、手戻り、待ち時間、確認漏れ |
| 対象業務 | どこからどこまでを相談対象にするか | 見積作成、受注登録、請求確認などの範囲 |
| 対象部門 | どの部署・担当者が関係するか | 営業、管理部門、現場、経営層など |
| 既存ツール | 現在使っているツールは何か | Excel、会計ソフト、CRM、SFA、チャットツールなど |
| 既存システム | 連携や二重入力があるか | どこに正本データがあるか、誰が管理しているか |
| 優先順位 | 何を先に改善したいか | 急ぎの課題、後回しでよい課題 |
| 予算感 | 初期費用型か月額型か、目安はあるか | 予算確定前でも、検討できる範囲 |
| 希望時期 | いつまでに相談・検討・開始したいか | 年度内、来期、繁忙期前など |
| 社内体制 | 誰が判断し、誰が現場確認するか | 決裁者、相談窓口、実務担当者 |
現状の課題を業務単位で整理する
最初に整理したいのは、現状の課題です。
ただし、「効率化したい」「DXしたい」だけでは範囲が広すぎます。相談時には、もう少し業務に近い言葉に落とした方が伝わりやすくなります。
たとえば、次のように整理します。
- 見積作成に時間がかかっている
- 受注後に同じ情報を複数回入力している
- 請求前の確認が担当者任せになっている
- 顧客情報がExcel、メール、紙に分散している
- 承認者が不在だと処理が止まる
- 問い合わせ履歴が社内で共有されていない
非IT担当者の場合は、専門用語でまとめようとするより、「誰が、どの作業で、どこに時間がかかっているか」から整理した方が伝わりやすくなります。
「システムを入れたい」という相談でも、実際には業務フローの整理、既存ツールの見直し、入力ルールの統一で解決に近づくことがあります。
この段階では、解決策を決めきる必要はありません。まずは、現場で起きている困りごとを、支援会社が理解できる形にすることが重要です。
対象業務と対象部門を区切る
DXという言葉は広いため、相談前の段階では対象範囲を区切ることが重要です。
「全社DXを進めたい」という表現だけでは、支援会社側もどこから提案すべきか判断しにくくなります。
たとえば、次のように業務単位で区切ります。
- 営業全体ではなく、見積作成から受注登録まで
- バックオフィス全体ではなく、請求前確認と承認フロー
- 顧客対応全体ではなく、問い合わせ受付から対応履歴の共有まで
- 在庫管理全体ではなく、発注判断と在庫数の確認まで
最初から全社を一気に変えようとするより、影響が大きい業務から順番をつける方が進めやすくなります。
対象範囲を区切ると、支援会社側も提案範囲、費用感、スケジュール、必要な社内体制を考えやすくなります。
既存ツール・既存システムを整理する
次に、現在使っているツールやシステムを整理します。
ここで必要なのは、専門的な仕様書ではありません。まずは、業務で使っているものを一覧化するだけでも十分です。
整理しておきたい内容は次のとおりです。
- 使っているExcelやスプレッドシート
- 会計ソフト、販売管理ソフト、在庫管理ソフト
- CRM、SFA、予約管理、問い合わせ管理
- チャットツール、ファイル共有、メール
- 既存の業務システム
- 正しいデータの保管場所
- 二重入力や転記が発生している箇所
- 更新責任者や管理者
既存ツールを整理しておくと、新しいツールを入れるべきか、今あるツールを活かすべきか、個別開発が必要かを相談しやすくなります。
支援会社に相談する前の整理では、細かな技術仕様よりも「どこに情報があり、どこで作業が止まり、どこで二重入力が起きているか」を見えるようにすることが大切です。
優先順位・予算感・希望時期を整理する
DX相談では、最初から正確な見積額を決める必要はありません。
ただし、予算感や時期の目安がまったくないと、支援会社側の提案も広がりすぎることがあります。
相談前に整理しておくとよいのは、次のような内容です。
- 何を最優先で改善したいか
- すぐ着手したいのか、来期計画なのか
- 月額型サービスを想定しているのか
- 初期投資をかけてもよいのか
- スモールスタートしたいのか
- 社内で予算を確保済みか、これから検討する段階か
費用や期間は、対象業務、既存環境、データ移行、運用設計、教育・定着支援の有無で変わります。この記事では具体的な金額や期間は断定せず、相談前に判断軸をそろえることを重視します。
社内体制・決裁者・担当者を確認する
DX支援会社へ相談する前に、社内の関係者も整理しておきます。
少なくとも、次の役割は確認しておくと安心です。
- 最終決裁者
- 相談窓口
- 実務責任者
- 現場ヒアリングに答えられる人
- 既存システムや外部ベンダーとの連絡役
- 導入後に運用を担当する人
担当者や決裁者が曖昧なままだと、支援会社から提案を受けても、社内確認で止まりやすくなります。
支援会社に相談する時点で全員が確定していなくても、誰が判断し、誰が現場確認するのかは整理しておきましょう。
まだ決まっていなくてもよいこと
DX支援会社に相談する前に、すべてを決める必要はありません。
むしろ、早い段階で決めすぎると、実際の課題と合わない方向へ進んでしまうこともあります。
| 決まっていなくてもよいこと | 相談前に整理しておきたいこと |
|---|---|
| 具体的なツール名 | 困っている業務、変えたい作業 |
| SaaSか個別開発か | 対象業務の範囲、既存ツールの状況 |
| 詳細な画面仕様 | 解決したい課題、必要な情報の流れ |
| 正確な見積額 | 予算感、希望時期、優先順位 |
| 完成したRFP | 相談背景、現状課題、社内体制 |
ツール名や開発方式は未定でもよい
相談前の段階で、採用するツール名や開発方式まで決めておく必要はありません。
「CRMを入れたい」「SFAを入れたい」「AIを使いたい」と考えていても、実際には既存ツールの整理や業務フローの見直しで対応できる場合もあります。
ツール名を決める前に、まずは「どの業務で何が起きているか」を整理する方が、支援会社との話が進めやすくなります。
支援会社やDXコンサルの役割を先に確認したい場合は、DX支援会社やDXコンサルの役割も参考になります。
詳細な画面仕様や機能一覧は後から整理できる
相談前に、画面の細かい仕様や機能一覧を作り込む必要もありません。
もちろん、必要な機能のイメージがある場合は共有してよいです。ただ、最初から機能一覧だけを作ると、「なぜその機能が必要なのか」が見えにくくなることがあります。
相談前に大切なのは、次のような情報です。
- どの業務で困っているか
- どんな情報を扱っているか
- どこで手戻りが起きているか
- 誰が確認し、誰が承認しているか
- どの状態になれば改善と言えるか
こうした情報があれば、詳細な画面仕様は支援会社との相談の中で整理できます。
DX支援会社に相談するときに確認したいこと
相談前に自社側の情報を整理できたら、次は支援会社に何を確認するかを考えます。
ここでも、料金だけで比較するのではなく、支援範囲や進め方を確認することが大切です。
現状整理や業務棚卸から対応できるか
DX支援会社といっても、得意領域は会社によって異なります。
戦略整理に強い会社、SaaS導入に強い会社、システム開発に強い会社、AI活用に強い会社、業務改善に強い会社などがあります。
そのため、初回相談では次のような点を確認しましょう。
- 現状整理から相談できるか
- 業務棚卸や課題整理に対応できるか
- 既存ツールの活用も見てもらえるか
- 新規導入ありきではなく比較してくれるか
- 導入後の運用まで見てもらえるか
DX支援会社を比較する段階に進む場合は、DX支援会社の選び方も確認しておくと、比較観点を整理しやすくなります。
既存ツール活用と新規導入をどう切り分けるか
DX相談では、新しいツールやシステムを入れることが前提になりがちです。
しかし、実際には既存ツールの使い方を見直すだけで改善できる場合もあります。反対に、既存ツールでは限界があり、業務フローの再設計や個別開発が必要な場合もあります。
相談時には、次のように確認するとよいです。
- 今あるツールを活かせるか
- 新しいツールが必要な理由は何か
- 個別開発が必要になる条件は何か
- データ移行や連携はどの段階で考えるか
- AI活用や自動化は業務フローにどう組み込むか
支援会社の肩書きだけで判断するより、現状整理から導入後の運用まで、どこまで支援してくれるかを確認する方が実務的です。
導入後の運用・定着まで見てもらえるか
DXは、導入して終わりではありません。
ツールやシステムを入れても、現場で使われなければ効果は見えにくくなります。だからこそ、相談時には導入後の運用・定着まで確認しておきたいところです。
確認したい内容は次のとおりです。
- 運用ルールの整理まで支援してくれるか
- 担当者教育やマニュアル作成は含まれるか
- 導入後の改善相談はできるか
- 現場からのフィードバックを反映できるか
- PoCや試験導入後、本運用へ進む流れがあるか
ここでは、導入フロー全体を深掘りしすぎず、相談時に確認すべき支援範囲として扱います。相談前整理の後、実際にDXをどう進めるかを知りたい場合は、記事後半で導入フローの記事へつなぎます。
相談前の準備不足で起きやすい失敗
DX支援会社への相談は、準備が完璧でなくても始められます。
ただし、整理が不足したまま進めると、いくつかのズレが起きやすくなります。
提案内容が比較できない
相談内容が会社ごとに違うと、提案内容もばらばらになります。
A社には「営業管理を効率化したい」と伝え、B社には「CRMを入れたい」と伝え、C社には「DXを進めたい」と伝えた場合、提案の前提がそろいません。
その結果、費用やスケジュールだけを見ても、実際には比較できていない状態になります。
相談前の整理が不足していると、提案の良し悪しではなく、そもそも各社が違う前提で提案している状態になりやすくなります。
ツール導入が目的になってしまう
課題整理が弱いまま相談すると、ツール導入そのものが目的になりやすくなります。
本来は、業務の手戻りを減らしたい、確認漏れを防ぎたい、顧客対応を共有したい、といった目的があるはずです。
しかし、先にツール名や補助金ありきで話を進めると、現場で本当に必要な改善からずれてしまうことがあります。
DXがうまく進まない背景を確認したい場合は、DXが失敗する原因も参考になります。
社内で意思決定が止まる
相談前に社内体制が整理されていないと、提案を受けた後に判断が止まることがあります。
たとえば、次のような状態です。
- 誰が最終判断するか決まっていない
- 現場確認を誰に聞けばよいか分からない
- 予算を誰が確認するか曖昧
- 既存システムの管理者が分からない
- 社内で優先順位が合っていない
DX相談では、支援会社とのやり取りだけでなく、社内の意思決定も重要です。
DX支援会社を比較する前に、簡単な相談メモを作っておく
DX支援会社へ問い合わせる前に、簡単な相談メモを作っておくと便利です。
正式なRFPや提案依頼書でなくても構いません。1〜3枚程度で、相談の背景と整理したい内容が伝われば十分です。
1〜3枚の簡易メモで十分
相談メモに入れる内容は、難しく考えすぎなくて大丈夫です。
以下のような項目をまとめます。
- 相談背景
- 現状課題
- 対象業務
- 対象部門
- 既存ツール・既存システム
- 優先順位
- 予算感
- 希望時期
- 決裁者
- 相談窓口
- 現場確認者
相談メモは、支援会社にきれいに見せるための資料ではありません。支援会社が自社の状況を理解し、提案の前提をそろえるための材料です。
相談メモに入れておきたい項目
相談メモを作るときは、次の流れで整理すると分かりやすくなります。
- 現状課題
- 対象業務
- 既存環境
- 優先順位
- 社内体制
- DX支援会社へ相談
それぞれの項目で、完璧にまとめる必要はありません。
たとえば、「請求前確認に時間がかかっている」「Excelが複数あり、正しい情報が分かりにくい」「現場担当者に確認しないと判断できない」といったメモでも、初回相談の材料になります。
相談メモは、支援会社に提出する完成資料ではなく、相談内容を具体化するためのたたき台です。
自社だけで整理しきれない場合は、現状整理から相談する
ここまで、DX支援会社に相談する前に整理しておきたい項目を紹介しました。
ただ、実際には自社だけで整理しきれないこともあります。
- 課題が多すぎて優先順位を決められない
- 現場の困りごとが部門ごとに違う
- 既存ツールが複雑で整理しきれない
- ツール導入、システム化、AI活用のどれが合うか分からない
- 社内でDXの進め方を説明できない
こうした場合は、ツール選定の前に、現状整理や業務棚卸の段階から相談する方法もあります。
要件が曖昧な段階でも相談できる
DX支援会社への相談は、要件が固まってからでないとできないわけではありません。
むしろ、要件が曖昧な段階だからこそ、現状を整理し、どの業務から始めるかを考える価値があります。
ただし、相談時には「全部お任せ」ではなく、分かっている範囲で課題や業務範囲を共有することが大切です。
相談前整理ができた後、PoCから運用開始までの流れを確認したい場合は、DX導入の進め方も参考になります。
LinkTachでは、相談前の整理から支援できます
LinkTachでは、DX支援会社へ相談する前の現状整理や、業務範囲の切り分け、優先順位づけからサポートしています。
どのツールを入れるかを先に決めるのではなく、まずは「どの業務に課題があるか」「どこから小さく始めるか」を一緒に整理することを大切にしています。
DX支援会社への相談前に、課題や対象業務、優先順位の整理で迷っている場合は、現状整理の段階から相談することもできます。
よくある質問
- DX支援会社に相談する前に、要件定義書は必要ですか?
- 必要とは限りません。詳細な要件定義書やRFPがなくても相談はできます。ただし、相談前に現状の課題、対象業務、既存ツール、優先順位、社内体制を整理しておくと、支援会社からの提案を比較しやすくなります。
- DX支援会社に何を伝えればよいですか?
- まずは、相談背景、困っている業務、対象部門、既存ツールや既存システム、予算感、希望時期、社内の担当者や決裁者を伝えるとよいです。完璧な資料ではなく、相談の前提が伝わることが大切です。
- ツール名が決まっていなくても相談できますか?
- 相談できます。ツール名や開発方式を先に決めるよりも、どの業務で何に困っているかを整理しておく方が重要です。支援会社との相談の中で、SaaS、既存ツール活用、個別開発、AI活用などを切り分けていくこともできます。
- DX支援会社を比較する前に何を準備すればよいですか?
- 現状課題、対象業務、既存ツール、優先順位、予算感、希望時期、社内体制を簡単にまとめておくと比較しやすくなります。正式な提案依頼書でなくても、1〜3枚程度の相談メモがあると初回相談が進めやすくなります。
- DX支援会社の選び方とは何が違いますか?
- DX支援会社の選び方は、どの会社をどう比較するかを考える段階です。この記事で扱う相談前整理は、その前段階として、自社が何を相談したいのかを明確にするための準備です。
- 自社だけで相談前整理ができない場合はどうすればよいですか?
- 課題や優先順位を自社だけで整理しきれない場合は、現状整理や業務棚卸の段階から相談する方法もあります。ツール選定の前に、業務範囲や課題の整理から始めることで、無理のないDXの進め方を考えやすくなります。
DX相談前の整理から、無理なく進めませんか
DX支援会社へ相談する前に、課題や対象業務、優先順位の整理で迷っていませんか。LinkTachでは、ツール選定やシステム導入の前に、現状の業務、困っていること、目指したい状態を整理するところからサポートしています。
DXを一気に進めるのではなく、どの業務から小さく始めるかを一緒に整理したい場合は、DX推進支援の内容をご確認ください。
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